「新電力に乗り換えたら最初は安かったのに、気づいたら大手より高くなっていた」「キャンペーン終わりで結局割高になった」——そんな経験をした方は少なくないはずです。
実は、電気代を本当に下げるためには、電力会社を乗り換えることよりも大切なことがあります。この記事では、新電力のリスクを正直に解説しつつ、大手電力会社を使いながらでも電気代を確実に下げる方法を徹底解説します。

新電力への乗り換えが「期待外れ」になりやすい理由
2016年の電力自由化以降、多くの新電力会社が参入し、「大手より安い!」「乗り換えで月〇〇円お得!」といったキャンペーンが盛んに行われました。しかし、実態はそれほど単純ではありませんでした。
①キャンペーン期間が終わると割高になる
多くの新電力会社は、初期キャンペーンとして「最初の3〜6ヶ月は割引」という形で顧客を獲得します。しかし、キャンペーン期間が終了すると通常料金に戻り、結果的に大手電力より割高になるケースが多くあります。
「乗り換えたのに電気代が上がった」と感じた方の多くは、このパターンに当てはまっています。
②燃料費調整額の上限撤廃リスク
大手電力会社(東京電力・関西電力など)には、燃料費調整額の「上限設定」がありました(2023年に撤廃)。一方、多くの新電力会社は当初から上限なしで契約しており、2021〜2022年の燃料高騰時に電気代が急激に跳ね上がりました。
新電力に乗り換えていたユーザーの中には、電気代が大手の2〜3倍になるケースも報告されており、急遽大手に戻した人が続出しました。
③新電力会社の倒産・撤退リスク
2022年以降、燃料費高騰の影響で多くの新電力会社が事業撤退・倒産しています。資源エネルギー庁の発表によると、2021〜2023年にかけて100社以上の新電力が撤退。突然の契約終了で「電気が止まるかも?」という不安を抱えた利用者も少なくありませんでした。
なお、新電力が撤退しても即座に電気が止まるわけではなく、地域の一般送配電事業者(旧大手)が引き継ぐ仕組みがありますが、手続きが面倒になることは確かです。

大手電力会社を使いながら電気代を下げる方法
「大手電力のままでも電気代は十分下げられる」——これが結論です。以下の方法を組み合わせることで、年間で数万円の節約が現実的に可能です。
①プランの見直し:今より安いプランが大手にある
大手電力会社でも、ライフスタイルに合ったプランを選ぶことで電気代を下げられます。主なプランの種類を紹介します。
| プランの種類 | 特徴 | おすすめな人 |
|---|---|---|
| 従量電灯(標準プラン) | 使った分だけ支払う基本プラン | 電気使用量が少ない一人暮らし |
| 時間帯別プラン(夜間割引) | 夜間・深夜が割安 | 夜に洗濯・食洗機を使う家庭 |
| オール電化プラン | 深夜電力が大幅割引 | エコキュート・IHクッキングヒーターがある家庭 |
| Web申込みプラン | ペーパーレス・Web手続きで割引 | ネットで手続きできる方 |
特に、夜間に家電をまとめて使う習慣がある家庭では、時間帯別プランへの変更だけで年間5,000〜15,000円の節約になることがあります。現在のプランを確認し、電力会社のWebサイトでシミュレーションしてみましょう。
②ガスとのセット割引を活用する
東京電力・関西電力・中部電力などの大手電力会社は、ガス会社と提携したセット割引を提供しています。電気とガスをまとめることで、月々数百円〜1,000円程度の割引を受けられるケースがあります。
また逆に、ガス会社(東京ガス・大阪ガス等)が提供する電気プランとのセット割引も選択肢です。どちらが安くなるか、現在の使用量でシミュレーションしてみることをおすすめします。

家電の使い方を変えるだけで電気代は大きく変わる
電気代を下げる最も確実な方法は、「電気を使う量そのものを減らす」ことです。以下に、家電別の節電ポイントをまとめます。
エアコン:電気代の約3割を占める最重要家電
家庭の電気代の中でエアコンが占める割合は、夏・冬で全体の30〜40%にもなります。エアコンの節電ポイントは以下の通りです。
- 設定温度を1℃変えるだけで約10%節電(冷房28℃・暖房20℃が目安)
- フィルターを2週間に1回掃除する(汚れると消費電力が10〜15%増加)
- サーキュレーターや扇風機との併用で体感温度を下げる
- カーテン・すだれで直射日光を遮り、冷房効率を上げる
- 外出時はこまめに電源を切る(30分以上の外出ならOFF推奨)
冷蔵庫:24時間365日稼働するため節電効果大
冷蔵庫は常時稼働しているため、小さな改善でも年間を通じた節電効果が積み上がります。
- 設定温度を「中」→「弱」に変更(夏以外):年間約700円節約
- 冷蔵庫の中を詰め込みすぎない(冷気の循環が悪くなる)
- 熱いものは冷ましてから入れる
- 冷蔵庫を壁から3〜5cm以上離して設置(放熱スペースを確保)
- 10年以上古い冷蔵庫は買い替えで年間1万円以上の節電になることも
照明:LED化で大幅節電
白熱電球やFL蛍光灯をLEDに交換することで、電気代を大幅に削減できます。
| 電球の種類 | 消費電力(60W相当) | 電気代(1日8時間・年間) |
|---|---|---|
| 白熱電球 | 約60W | 約2,100円 |
| 電球型蛍光灯 | 約12W | 約420円 |
| LED電球 | 約8W | 約280円 |
白熱電球からLEDに変えると、1球あたり年間約1,800円の節約。家中の電球を10個変えると年間約18,000円の節約です。LED電球の購入費用は1〜2年で回収できます。
待機電力:コンセントを抜くだけで年間5,000円以上
家電の「待機電力」(スタンバイ状態での消費電力)は、家庭全体の電気代の約5〜6%を占めるといわれています。年間電気代が12万円の家庭なら、待機電力だけで約6,000〜7,200円かかっている計算です。
節電タップ(個別スイッチ付き)を活用して、テレビ・レコーダー・ゲーム機・電子レンジ周りのコンセントを使わないときは切る習慣をつけましょう。特に長期不在のときは効果的です。

電気代節約の効果をシミュレーション
上記の節電対策を組み合わせた場合の節約効果を試算してみます(4人家族・月の電気代1万5,000円の場合)。
| 節電対策 | 月間節約額 | 年間節約額 |
|---|---|---|
| エアコン設定温度見直し・フィルター掃除 | 約500〜1,000円 | 約6,000〜12,000円 |
| 照明のLED化(10球) | 約1,500円 | 約18,000円 |
| 待機電力削減(節電タップ活用) | 約500〜600円 | 約6,000〜7,200円 |
| 冷蔵庫の設定・配置見直し | 約100〜200円 | 約1,200〜2,400円 |
| 時間帯プランへ変更 | 約500〜1,500円 | 約6,000〜18,000円 |
| 合計 | 約3,100〜4,800円 | 約37,200〜57,600円 |
無理なく実践できる対策だけで、年間3〜5万円の節約も十分現実的です。新電力に乗り換えて不安を抱えるより、確実に効果がある節電を積み重ねるほうが、長期的には大きな節約につながります。
それでも電力会社を乗り換えるなら、確認すべき3つのポイント
「やっぱり乗り換えも検討したい」という方のために、失敗しないためのチェックポイントをまとめます。
①燃料費調整額の上限設定を確認する
契約書や料金説明書に「燃料費調整額の上限あり」と明記されているか確認しましょう。上限なしの場合、燃料高騰時に電気代が大幅に跳ね上がるリスクがあります。
②キャンペーン終了後の料金を確認する
「最初の6ヶ月は割引」「乗り換えキャッシュバックあり」といったキャンペーンの終了後、どのくらいの料金になるかを必ず確認しましょう。現在の大手電力の料金と比較して、通常期でも安いかどうかが重要です。
③解約料・違約金を確認する
新電力会社によっては、一定期間内の解約に違約金が発生するケースがあります。「やっぱり大手に戻りたい」となったときに追加費用がかからないか、事前に契約内容を確認しましょう。

ガス代も同時に見直して光熱費をトータル削減
電気代の節約と合わせて、ガス代も見直すことで光熱費全体の削減効果が高まります。ガス代の節約ポイントを確認しましょう。
給湯器の設定温度を下げる
給湯器の設定温度を60℃から50℃に下げるだけで、ガス使用量を約10〜15%削減できます。シャワーや風呂の給湯に使う熱量が下がるためです。ただし、冬場は温度が低すぎると快適さが損なわれるので、季節に合わせて調整しましょう。
また、追い焚きの回数を減らすことも効果的です。入浴間隔が短い家族が続けて入る場合は、追い焚きより保温を活用するほうがガス代を抑えられます。
シャワー時間を1分短縮するだけで年間3,000円節約
シャワーはガス代と水道代の両方に影響します。4人家族でそれぞれが1日1回シャワーを使う場合、シャワー時間を1分短縮すると:
- ガス代:年間約2,000〜3,000円節約
- 水道代:年間約1,000〜1,500円節約
- 合計で年間約3,000〜4,500円の節約効果
シャワーヘッドを節水タイプに交換するのも効果的です。1,000〜3,000円程度で購入でき、水量を30〜50%カットしながら水圧を保つ製品が多数販売されています。
コンロの炎サイズと鍋の大きさを合わせる
ガスコンロで炎が鍋底からはみ出ている場合、エネルギーが無駄に逃げています。炎の大きさを鍋底に合わせるだけで、ガス使用量を5〜10%削減できます。また、フタをして調理することで加熱時間を短縮し、さらにガスを節約できます。
電気とガスのセット契約でさらに節約
東京ガスや大阪ガスなどのガス会社が提供する電気プランと契約すると、ガス代・電気代のセット割引が受けられます。割引額は月々数百円程度のケースが多いですが、長期で見ると年間数千円の節約になります。
| 会社名 | セット割の概要 | 割引の目安 |
|---|---|---|
| 東京ガス(でんき) | ガス+電気セット | 月100〜500円程度 |
| 大阪ガス(電気) | ガス+電気セット | 月100〜400円程度 |
| 東京電力(ガス) | 電気+ガスセット | 月100〜300円程度 |
セット割を使いながら、大手の安定した供給インフラを享受できるのが最大のメリットです。新電力のようなリスクが少なく、確実な割引が受けられます。
省エネ家電への買い替えは「元が取れるか」で判断する
省エネ性能の高い新しい家電に買い替えることで節電効果が得られますが、初期投資が回収できるかどうかを事前に確認することが重要です。
冷蔵庫:10年以上なら買い替えを検討
冷蔵庫の省エネ性能はここ10〜15年で大幅に向上しています。2010年製の冷蔵庫(500L クラス)の年間消費電力量が約580kWhだったのに対し、2024年製の同クラスは約290kWhと約半分になっています。電気代に換算すると、年間約8,000〜10,000円の節約効果があります。
購入費用が10万円の場合、年間1万円節約できれば10年で元が取れる計算です。10年以上使っている冷蔵庫は、買い替えのコスト計算をしてみましょう。
エアコン:15年以上なら買い替えが節電にも
エアコンも省エネ性能が大幅に向上しており、15年以上前の機種と最新機種では消費電力が30〜40%異なるケースがあります。年間の電気代差額が5,000〜15,000円程度になることもあり、8〜15年程度で買い替えコストを回収できます。
また、古いエアコンは冷暖房効率も落ちているため、「同じ設定温度でも快適さが違う」と感じることも多くあります。快適性と節電を両立する意味でも、古いエアコンの買い替えは検討の価値があります。
電気代の「見える化」で節約意識を高める
節電を続けるモチベーションを保つには、電気代の「見える化」が効果的です。スマートメーター対応の家庭では、電力会社のWebサービスやアプリで「30分ごとの電気使用量」を確認できます。東京電力の「くらしTEPCO」や関西電力の「はぴeみる電」などのサービスを活用してみましょう。
「エアコンをつけた時間帯に消費量が跳ね上がっている」「深夜の待機電力が意外と多い」といったことが一目でわかるため、効果的な節電ポイントを見つけやすくなります。節電対策をする前後で使用量を比較することで、実際の効果も確認でき、継続のモチベーションにもなります。
まとめ:電気代節約は「乗り換え」より「使い方の改善」が確実
電気代の節約についてまとめます。
- 新電力はキャンペーン終了後・燃料高騰時に割高になるリスクがある
- 大手電力でもプランの見直し(時間帯別・セット割)で節約可能
- エアコン・照明・待機電力・冷蔵庫の見直しで年間3〜5万円の節約が現実的
- LED化は初期投資が1〜2年で回収でき、最もコスパの高い節電策
- 乗り換えを検討するなら燃料費調整額の上限設定と通常料金を必ず確認する
電気代の節約は「電力会社を変える」ことよりも、「今使っている電気の使い方を見直す」ことのほうが、安定して効果が出やすく、リスクもありません。まずは今月の電気代の明細を確認し、エアコンのフィルター掃除とLED化から始めてみましょう。


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