「投資を始めたけど、株価が急落して怖くなった」「ニュースで『暴落』『大暴落』と聞くと、保有している投資信託を売ってしまいたくなる」――こうした不安は、投資をしている誰もが一度は経験するものです。
実は、長期投資で失敗する人の多くは、「暴落そのもの」ではなく「暴落時の誤った行動」によって損をしています。逆に言えば、暴落時に正しく行動できれば、資産を守るどころか、むしろ将来のリターンを高めるチャンスにもなります。
この記事では、投資の暴落時にやってはいけないこと、そして下落相場で資産を守るための考え方と具体的な行動を、2026年版の最新情報でわかりやすく解説します。

暴落時にやってはいけないこと3選

①狼狽(ろうばい)売り:恐怖で底値で売ってしまう
暴落時に最もやってはいけないのが「狼狽売り」です。株価が急落すると、「これ以上下がる前に売ってしまおう」という恐怖心が湧きます。しかし、慌てて売ると、まさに価格が一番安い「底値」で手放してしまうことになりがちです。
そして、売ったあとに相場が回復しても、「また下がるかも」と買い戻せず、結局「高値で買って安値で売る」という、投資で最も避けるべきパターンに陥ってしまいます。暴落時の損失は、売却して初めて「確定」します。売らなければ、それは単なる「含み損(評価上の損)」にすぎません。
②積立投資をやめてしまう
「相場が下がっているのに積み立てを続けるのが怖い」と、つみたて投資を止めてしまう人がいます。しかし、これは大きな機会損失です。なぜなら、暴落時こそ「安く買えるバーゲンセール」だからです。同じ金額で、いつもより多くの口数を購入できるため、将来の回復時に大きなリターンにつながります。
③レバレッジ・信用取引で「取り返そう」とする
損失を一気に取り返そうと、レバレッジ商品や信用取引などのハイリスクな手法に手を出すのも危険です。短期で大きく儲けようとする行動は、相場が予想と逆に動いたときに、立ち直れないほどの大損失を招くことがあります。暴落時こそ、冷静に長期・積立・分散の基本に立ち返ることが大切です。
暴落は「定期的に起こる」ものと知っておく

暴落への恐怖を和らげるために重要なのが、「暴落は珍しいことではなく、定期的に起こるもの」という事実を知っておくことです。
過去に起きた主な暴落
| 出来事 | 主な下落のきっかけ |
|---|---|
| ITバブル崩壊(2000年〜) | IT関連株の過熱と崩壊 |
| リーマンショック(2008年) | 世界的な金融危機 |
| コロナショック(2020年) | 新型コロナによる経済停止 |
| インフレ・利上げ局面(2022年) | 世界的な金融引き締め |
これらの暴落はいずれも、当時は「もう株は終わりだ」と言われるほど深刻でした。しかし、歴史を振り返ると、世界経済全体(全世界株・米国株)は、暴落のたびに下落しても、その後時間をかけて回復し、長期的には右肩上がりに成長してきました。
つまり、暴落は「世界経済が終わるサイン」ではなく、「定期的に訪れる一時的な調整」だと捉えることができます。短期的な下落に動揺せず、長期的な視点を持つことが、暴落を乗り越えるカギです。
暴落時にやるべき正しい行動

①積立投資を「淡々と続ける」
暴落時の最も賢い行動は、「いつも通り積立投資を続ける」ことです。毎月一定額を投資する「ドルコスト平均法」では、価格が下がったときに自動的に多くの口数を買えるため、平均購入単価が下がります。これが、相場回復時の大きなリターンの源泉になります。
②資産を「見ない」勇気を持つ
暴落時に頻繁に資産残高をチェックすると、含み損を見て不安が増し、狼狽売りにつながりやすくなります。長期投資家にとって、日々の値動きを気にしすぎないことは立派な戦略です。「設定したら、あとは放置」くらいの気持ちが、結果的に良いパフォーマンスにつながることが多いのです。
③余裕資金があれば「買い増し」も検討
生活防衛資金とは別に余裕資金がある場合、暴落時は「優良な資産を安く買えるチャンス」とも言えます。ただし、「落ちるナイフはつかむな」という格言があるように、どこが底かを当てるのは不可能です。一度に全額を投じるのではなく、何回かに分けて買い増す(分散して買う)のが安全です。
なぜ人は暴落時に間違った行動をとるのか
「暴落時は売らないほうがいい」と頭では分かっていても、いざ自分の資産が大きく減ると、つい売りたくなってしまうものです。これには、人間の心理的な仕組みが深く関係しています。
プロスペクト理論:人は「損失」を過大に感じる
行動経済学の「プロスペクト理論」によると、人は同じ金額でも「利益を得る喜び」より「損失を被る痛み」を約2倍強く感じるとされています。つまり、10万円儲かる喜びより、10万円損する苦痛のほうがはるかに大きく感じるのです。
この心理があるため、暴落で含み損を抱えると、「これ以上の痛みを避けたい」という感情が働き、合理的でない狼狽売りをしてしまいます。「自分が冷静でいられないのは意志が弱いからではなく、人間の脳の仕組みのせい」と理解しておくだけでも、暴落時に一歩立ち止まる助けになります。
メディアやSNSの「不安をあおる情報」に注意
暴落時には、メディアやSNSで「史上最大の暴落」「資産が紙くずに」といった過激な見出しがあふれます。こうした情報に触れ続けると、冷静な判断ができなくなります。暴落時こそ、情報を見すぎず、自分の長期的な投資方針を信じて行動することが大切です。
暴落に備えて「平常時」にやっておくべきこと
暴落への一番の対策は、実は「暴落が来る前の準備」にあります。相場が穏やかな今のうちに、以下のことを整えておきましょう。
①生活防衛資金を現金で確保しておく
生活費の3〜6ヶ月分を現金で確保しておけば、暴落時に「生活のために投資資産を売らざるを得ない」という最悪の事態を避けられます。心の余裕は、現金の余裕から生まれます。暴落が来ても「当面の生活は大丈夫」と思えることが、狼狽売りを防ぐ最大の防波堤になります。
②自分のリスク許容度を把握しておく
「資産が30%減っても冷静でいられるか?」を事前に考えておきましょう。もし耐えられないと感じるなら、株式の割合を下げて現金や債券を増やすなど、自分が眠れるバランス(リスク許容度)に調整しておくことが重要です。無理なリスクを取らないことが、長く投資を続けるコツです。
③投資の「ルール」を決めておく
「毎月◯万円を積み立てる」「暴落が来ても売らない」「相場は1ヶ月に1回しか見ない」など、自分なりのルールをあらかじめ決めておくと、感情に流されにくくなります。暴落の渦中で判断するのではなく、平常時に決めたルールに従うことで、冷静さを保てます。
暴落に関するよくある疑問 Q&A
Q:暴落が来そうなニュースが出たら、一度売って避けたほうがいい?
A:おすすめしません。暴落のタイミングを正確に予測することはプロでも不可能です。「暴落を避けようと売る→相場が上がって買い戻せない」という失敗が非常に多いです。タイミングを計るより、淡々と積立を続けるほうが、長期的には良い結果になりやすいです。
Q:暴落から回復するまでどのくらいかかりますか?
A:暴落の規模によりますが、過去の例では数ヶ月〜数年で回復してきたケースが多いです。コロナショック(2020年)は比較的短期間で回復し、リーマンショック(2008年)は回復に数年かかりました。重要なのは「回復するまで待てる資金で投資する」ことです。すぐ使う予定のお金で投資しないようにしましょう。
Q:含み損が大きくて不安です。どうすればいい?
A:まず「含み損は売らなければ確定しない」ことを思い出してください。そして、自分が投資している商品(全世界株・米国株など)が長期的に成長が見込めるものであれば、慌てて売る必要はありません。どうしても不安なら、相場を見る回数を減らし、積立だけ淡々と続けるのが良い対処法です。
Q:暴落時に買い増ししたいが、いつ買えばいい?
A:底値を当てるのは不可能なので、「何回かに分けて買う」のが現実的です。たとえば、用意した資金を3〜5回に分けて、数週間〜数ヶ月かけて買い増していけば、高値づかみのリスクを減らせます。ただし、生活防衛資金には手をつけないことが大前提です。
シミュレーション:暴落時に売った人 vs 続けた人
暴落時の行動の違いが、将来の資産にどれほど影響するかを、シンプルな例で見てみましょう。毎月3万円を積み立てている2人の投資家がいるとします。
| Aさん(暴落で売却・停止) | Bさん(淡々と継続) | |
|---|---|---|
| 暴落時の行動 | 怖くなって全部売却・積立停止 | 気にせず毎月3万円積立を継続 |
| 相場回復時 | 「また下がるかも」と買い戻せず | 安く買った口数が大きく値上がり |
| 長期的な結果 | 底値で売り、回復の恩恵を受けられない | 暴落時の買い増しが大きなリターンに |
同じ暴落を経験しても、Aさんは「高値で買って安値で売る」という最悪のパターンになり、Bさんは「安値でたくさん買って回復の恩恵を最大限受ける」という結果になります。暴落時の行動ひとつで、10年後・20年後の資産には大きな差が生まれるのです。
投資の神様・著名投資家の「暴落への向き合い方」
長期投資で成功してきた著名な投資家たちは、暴落をどう捉えているのでしょうか。彼らに共通するのは、「暴落を恐れず、むしろ冷静にチャンスと捉える」という姿勢です。
「他人が貪欲なときに恐る恐る、他人が恐れているときに貪欲に」という有名な投資格言があります。これは、みんなが熱狂して買っているときは慎重に、みんなが恐怖で売っているとき(=暴落時)こそ買い向かう、という長期投資の本質を表しています。
もちろん、私たち一般の投資家が完璧にこれを実践するのは難しいですが、少なくとも「みんなが恐怖で売っているときに、一緒になって慌てて売らない」ことはできます。暴落時に何もせず(=売らず)、淡々と積立を続けるだけでも、十分に賢い投資家といえるのです。
暴落は、投資を長く続けていれば誰もが必ず経験します。だからこそ、暴落時の正しい知識と心構えを今のうちに身につけておくことが、将来の資産を大きく左右します。次に暴落が来たときは、ぜひこの記事を思い出して、冷静に・どっしりと構えてください。
新NISAだからこそ「暴落時の継続」が重要
新NISAで投資をしている人にとって、暴落時に積立を続けることはとくに重要な意味を持ちます。新NISAは運用益が非課税になる強力な制度ですが、その恩恵を最大限受けるには「長期で保有し続けること」が前提だからです。
暴落で慌てて売却してしまうと、せっかくの非課税枠を活かしきれないまま、損失を確定させることになります。逆に、暴落時も淡々と積立を続け、長期で保有すれば、回復後の大きな値上がり益を非課税で受け取れる可能性が高まります。
「新NISAで非課税のメリットを最大化する」という観点からも、暴落時に売らずに続けることは、もっとも合理的な選択といえます。制度のメリットを正しく理解しておくことも、暴落時に冷静でいられる支えになります。
暴落時こそ「自動積立」が心強い
暴落時に「買い向かう」のは、頭で分かっていても感情的にはとても難しいものです。そこで役立つのが、証券会社の「自動積立設定」です。毎月決まった日に自動で買い付けてくれるため、暴落の真っ最中でも、自分の感情に関係なく淡々と買い続けてくれます。
「人間の意志の弱さ」を仕組みでカバーできるのが自動積立の最大のメリットです。一度設定しておけば、暴落時に「売ろうか、買おうか」と悩む必要すらありません。感情に左右されずに投資を続けたい人ほど、自動積立を活用しましょう。
まとめ:暴落を「味方」にできる人が勝つ

投資の暴落時に大切なポイントをまとめます。
- ✅ 狼狽売り・積立停止・レバレッジは「やってはいけないこと」
- ✅ 暴落は定期的に起こるが、世界経済は長期で回復・成長してきた
- ✅ 含み損は売らなければ「確定しない」
- ✅ 暴落時こそ積立を淡々と続ける(安く買えるチャンス)
- ✅ 資産を見すぎず、長期目線でどっしり構える
暴落は、投資をする限り必ず訪れます。しかし、それを「恐怖」と捉えるか「チャンス」と捉えるかで、長期的な結果は大きく変わります。事前に「暴落は起こるもの」と心の準備をしておき、いざ暴落が来ても淡々と積立を続けられる人こそが、長期投資で報われる人です。値動きに振り回されず、世界経済の成長を信じてコツコツ続けていきましょう。


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